「食いしん坊!万才」にちなんで、「森ビル」のマンションを購入し、居住したクリスティーヌが、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」で注目を集める「森ビル」を礼賛する記事の続き第5弾です。
初めてこちらにいらした方へ。本記事は連載のため、よろしかったら最初からお読みください。目次
森ビルマンション購入記5
ちょっとした疑問は後回し
ルームサービスがある、ということは、お部屋を購入する前に、誰からも知らされていませんでした。営業マンが知っていたら教えてくれるはずなので、「営業マンも知らなかったのかな」と思いました。すぐさま携帯電話で、夫に電話しました。
「ねえ、すごいよ、ルームサービスがあるんだって。わたしたちも、オーダーできるみたい。たぶんだけれど、前の持ち主の方が、わざわざメニューの紙を、玄関に置いてくださっていたんだと思う」
「すごいね」
夫も、びっくりしたようすでした。でもまたいつものように、冷静な言葉が返ってきました。
「サービスアパートメントがあるからじゃないかな。メニューって、どんなもの? レストランで出しているのと同じものかな」
「メニューが同じかは、わからない。あとで、フロントに寄ってみるね」
答えながら、そうだ、レストランに行ってみなくちゃ、と思いました。たしか住民が使えるレストランがあると聞いていたのです。
購入の過程で、わからないことは、いくつかありました。けれど、「購入したい」という気持ちがあまりにも強すぎて、ちょっとした疑問などは、後回しになっていました。
それが「森ビル流」ですって?
ひとつ、腑に落ちないことがありました。コンシェルジュについて、ふと気になって、電話で営業マンに聞いたときのことです。
「こちらのコンシェルジュは、どういうことをしていただけるのでしょうか」
「通常のコンシェルジュ業務だと思いますが」
と、そつのない営業マンの返答はスムーズでした。
「・・・今度、現地をもう一度ご案内するときに、お答えいたします」
「お手数おかけします。ありがとうございます」
めんどくさい客と思われたかな、とちょこっと心配したんですが、そのときは、それだけの会話で終わりました。
次に営業マンに現地で会った日、別れ際に、そうだ質問をしていたんだった、と思い出しました。聞くと、
「問い合わせてみたのですが、詳細は、わかりませんでした」
意外な答えでした。
「わからないって、どういうことですか? わからないはずないですよね」
文字にすると詰問調になってしまうのですが、そういうつもりではなく、心から不思議でたまらなくて、思わずしつこく聞き返してしまいました。
いつも「完璧」な営業マンの彼なのに、珍しい、とも思いました。
「普通、フロントでできることは、宅急便の預かりとか、クリーニングを出すとか、決まっていると思うのです。それに、コンシェルジュって普通アルバイトだと思うので、フロント業務が記載された一覧表みたいな紙が、内部には絶対にあるはずです。・・・もう一度、森ビルに聞いてみていただけますか」
「わかりました。もう一度、聞いてみます」
数日後、電話で、次のように教えてくれました。
「もう一度聞いてみたのですが、やはりそのような、紙といいますか、業務の規定といいますか、フロントの業務についてまとめてあるものは、本当にないそうなんです。もしお知りになりたいことがあれば、いつでもフロントにお寄りください、とのことでした」
「そうなんですか」
「フロントでやってもらいたいことなど、言っていただければ、僕のほうから聞いてみます。聞けば、すぐに答えてくれるそうです」
「今、やってもらいたいことは、特に思いつきません」
ほかに答えようがなくて、とりあえず正直に言いました。
「ただ、前に住んでいたマンションがいくつかあるんですけれど、コンシェルジュができることとできないことがはっきりしていて、たしか引っ越す前だったか引っ越した後だったかに、サービス一覧のような紙を渡されたこともあったので、一応、知っておきたいな、と思ったんです」
「僕も、何度も、たしかめたんですが・・・。サービス一覧のようにまとまったリストは、存在しないそうなのです。自分も、本当に不思議なんですが、それが森ビル流なのかもしれません」
それが「森ビル流」ですって? ちゃんとした会社だったら、各業務内容がスタッフにまで行き渡るように、きちんとマニュアルがあるはずなのに。
「そのようなものは、ございません」
フロントへ行きました。とても静かなロビーです。座ったら腰が沈んでしまうような、低いソファーが並んでいます。あまり通る人はいません。ドアマンが、誰も通らないドアのところに立って、所在なさげというわけでもなく、生真面目というわけでもなく、内面が充実している人はきっといつもこんな表情をいつもしているのだろうな、と思わせる、プロフェッショナルなほどの自己主張のない表情で、玄関の外を眺めているのでした。
カウンターの上には小さなベル、森ビルのものらしいパンフレット、それから外国人用のフリーマガジンなのでしょうか、英語の冊子が置いてありました。フロントには、男性と女性がいて、男性の方が対応してくれました。
初めて直接話すので、少し気後れしてしまいました。
「そのようなものは、ございません」
やんわりと、しかしきっぱりとした返答でした。
「何かご用がありますでしょうか。おっしゃっていただければと存じます」
「いえ・・・。まだ何もお願いしたいことはありません」
営業マンに答えたのと同じ言葉を口にしていました。
なぜ、サービス一覧を記載したものがないのかしら。ここって、意外とアバウトなのかしら。・・・と思ったのが間違いだったと、住んだ後にわかりました。
フロント業務にマニュアルがない。それは、一流ホテルのコンシェルジュにマニュアルが存在しないのと同じ発想だったのです。
あるときは、そしてまたあるときは・・・
あるときは、大量の段ボール箱を、1週間ほどフロントに預けたこともありました。
「こんなにたくさんの段ボール箱、預かってはいただけませんよね」
「大丈夫です」
「何箱まで、というのはありますか?」
「特に何箱まで、という決まりはありません。置かせていただける範囲であれば、何箱でも、預からせていただきます。段ボール箱を置ける場所はフロントだけではなく、奥にもありますので、もしフロントで預かれない量であれば、別のところへ持っていきますので、ご心配なさらないでください」
「場合によっては、一週間ばかり、預かっていただくことになるんですが」
「問題ございません」
「段ボールの数が多すぎて、ご迷惑ではありませんか」
「お気になさらないでください。スペースはたくさんありますので」
またあるときは、お友達に渡したいものがあるけれど、タイミングよく会えない、なのでフロントに預けておいて、お友達には、いつでも取りにきてもらえるようにした、ということもありました。
「その方が、フロントでお名前をおっしゃっていただければ、お渡しできるようにしておきます」
(このときは、お友達が羽田から海外に出発するときに渡したい、特別に用意したお土産だったため、本当に助かりました。)
また、仕事で必要なものを受け取らなくてはならなくて、早朝、車で運んでもらった際に、フロントでいったん預かってもらったこともあります。
「その時間ですと、セキュリティの者が対応しますが、伝えておきます。お出でになる方のお名前をお知らせ願えますか。その方には、直接フロントにいらしていただくよう、お伝えください」(このときは、あまりに早朝過ぎて、寝ている時間だったため、本当に助かりました。)
返事は「できます」
これまで住んだどこのマンションでも、コンシェルジュに何か頼むと、必ずといっていいほど断られていました。預かりものなど特にそうで、「何かをお預かりすることは、こちらとしては責任が持てないので、できかねます」となどと言われ、「貴重品とかそういうものではないんですが」と食い下がっても、「お預かりできません」と、交渉の余地なし!でした。コンシェルジュはフロント前を通る住民に「挨拶する」だけ、と揶揄されることも多い「コンシェルジュ業務」ですが、「森ビルマンション」のフロントは、ホテルのコンシェルジュのように、心強い味方としての存在だと感じました。
それから、またあるときは、とてもここでは書けないようなずうずうしいことを、お願いしたことがありました。困り果て、緊急を要していたのですが、そのときも、「少々お待ちください。確認いたします」と、少し待たされただけで、返事は「できます」でした。
「頻繁に行うことはできませんが、今回は、お困りということで、お力にならせていただきます」
その返事を受けてから「やっぱり、こんなことで頼ってはいけないな」と思い直し、「ご迷惑になるかもしれないので、やはりこちらで解決します」と伝えると、
「こちらで対応したほうが、クリスティーヌさまのお困りが早く解決しますので、どうか、お気になさらないでください」
との返答。
このときは、身内よりも助けになる、と我ながら大げさなぐらい、感動しました。
こうした「森ビルマンション」のフロントの対応をまのあたりにするにつけ、依頼されたことに対して「ノー」と答えることを前提とするのではなく、「イエス」と答えることを美徳とする彼らに、心からの賛辞を送らずにいられません。
「安心できる我が家」という感覚。
これが「森ビルマンション」の魅力、と感じています。
クリスティーヌの想い。とおまけの話
マンションを購入する際に、いろいろ舞い上がってしまい、聞きたいことが思いつかなかったり、聞きたいことを後回しにしてしまったりして、聞きそびれてしまうことがあります。また、検討段階では、「こんなことを気にしているなんて、どう思われるだろう」と気後れして、聞かなかったこともあります。
後になって、「聞いておけばよかった」と思うことも多々ありました。
みなさまは、どうでしょう。引っ越してから「こんなこと、聞いていなかった」なんてこと、ありましたでしょうか? よかったら、いつか聞かせてくださいね。
・・・さて、今日も読んでくださって、ありがとうございました。
ここまで読んでくださったお礼(?)に、差し入れにも喜ばれる茶巾寿司「 八竹」を紹介します。四谷三丁目に行くと、つい買いたくなってしまいます。大好物です。今はコロナで店内テーブルは撤去されていました。大正十三年創業。
折詰の箱もあるのですが、自宅用というと、こんな紙包みで渡してくれます。カウンターの中では、何人もの女性が、次々と寿司を作り、折り詰めに入れています。大量注文も多いようです。
こちらから、四谷三丁目駅から徒歩2分の「ブリリア四谷三丁目」まではすぐです。
モデルルームに行かれる方は、ぜひ寄ってみてください。ただ、あのあたりには評判のお店がたくさんありますが・・・。
ちなみに、少し前に書いた「ブリリア四谷三丁目」の記事はこちらです。モデルルームが昨日よりオープンし、事前案内会がスタートしています。なかなか反響が良いようです。
「Weekendクリスティーヌ」は、クリスティーヌが不動産購入(売却)から感じたこと、日々の生活から発見したこと、失敗談から学んだこと、成長?したこと、などなど、機会あれば皆さまとシェアしたいと思っており、「だったら、週末がいいかなあ」と思った次第です。
あくまでクリスティーヌの体験談が中心になる予定であります。ちょっとした息抜きに、どうかおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。
この話の続きは、こちらです。
第11話 クリスティーヌの「森ビル!万才」 森ビルマンション購入記6(とちょっと長いおまけの話)【Weekendクリスティーヌ】
・・・皆さまのウィークエンドが、素敵な時間でありますように。住む場所は人生を豊かにする、がモットーの、クリスティーヌより愛をこめて。
(森ビルマンション購入記 記事一覧はこちらからどうぞ。初回はこちらです。)
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(息抜き版、もうひとつの自己紹介はこちらです)
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