カネ田一少年の憂鬱「新築マンションの販売編1」【カネー】

[スムラボ編集部より] 本ブログ記事の情報は投稿日時点のものです。現在の販売情報は物件公式サイトをご参照下さい。

 

はいはいはいはいはい、元鉄道運転士のカネーです。

今回はカネ田一少年シリーズです。よろしくお願いいたします。

カネ田一少年シリーズを知らない方は過去の作品をみて頂けますと登場人物が分かりやすいかと思いますので下記にリンクを貼っておきます。

※今までの登場人物

カネー:鉄道運転士からド素人の状態でベンチャー不動産会社に飛び込み働いている

サイコパス:カネーの働く不動産会社の社長

真美:カネーが働く不動産会社の事務員

沢井オーナー:カネーが働く不動産会社のオーナー

 

カネ田一少年の事件簿「住宅ローン編1」【カネー】



カネ田一少年の事件簿「住宅ローン編2」【カネー】



カネ田一少年の事件簿「住宅ローン編3」【カネー】



 

カネ田一少年の事件簿「住宅ローン編4完」【カネー】




 

すぐにルノアールに来るように。

事務所に戻ると真美が寄ってきて、話しかけてきた。

「私は伝えましたからね」と念押ししてきた。

 

ああ、何かまた面倒事かと心が重くなった。

事務所には、他の営業や事務員が常にいるので何か大事な仕事の話は事務所ではなく、会社の近くのルノアールという喫茶店で行われるのだ。

 

仕事の進捗の報告というよりも、部下の状況や他部署との連携を聞かれることが多い。仕事の話は会社でしても問題ないが会社内の人間関係の話はさすがに会社内で行うのが難しく、その為だ。

 

重い足取りでルノアールに向かった。

ルノアールにつくと待っていたのはサイコパス社長とオーナーだった。

 

 

「おお、早かったな、今日の契約は無事完了か?」

先に話しかけてきたのは沢井オーナーだ。

 

「はい、問題なく終わりました」

 

「それはよかったな、今日はお前に話があるんだが、詳しいことはサイコパスから話す」

 

サイコパス社長はアイス珈琲をごくりと飲み干したあと話し出した

「最近お前の仲介の成績はよくやっていると思う、最初はどうしようもなかったお前だが、頑張っているんじゃないか」

「はい、ありがとうございます。」

あなたに散々仕事をやらされましたからねとカネーは心の中で呟いた。

「そこでだ、仲介の仕事は一旦区切りをつかせて、お前には新築マンションの販売の仕事をしてもらう」

「!!!」

カネーはドキッとした。

「仲介と新築マンションの販売は同じ不動産を取り扱うことでも全然勝手が違う」

さらにカネーの目を見つめて続けた。

「特にどちらかというとお前は営業力はあまりない方だと思うのでしっかり鍛えてこい、話は以上だ、引継ぎは専務にしておくから、このあとは専務の指示に従ってくれ」

「わかりました」

カネーはかなり気が重くなっていた。

サイコパス社には主に「仲介を取り扱う部署」、「買い取り再販の為に仕入れ物件を探す部署」、そして今回言われた「新築マンション販売の部署」があるのだが、カネー的には1番いきたくない部署だった。というのも仲の良い同期が新築マンション販売の部署にいるのだが、なかなか営業成績があがっておらず、愚痴ばかり吐いているからだ。

しかし、サイコパス社長に言われたからには断るわけにはいかない、断るのであれば退社を選ぶしかなく、住宅ローンを抱えているカネーとしては、今の会社にしがみつくしかない状況なのだ。

カネーは重たい腰をあげて事務所に戻り新築販売の部署に向かう準備をはじめた。

 

新宿から小田急線に乗り込んだ、新築マンションの現場は神奈川県の小田急線沿いの物件だった。駅からは徒歩5分と立地は悪くない。カネーは今まで仲介の部署で結果をだしてきたのだから、新築マンションの販売なんて簡単だろうと思いながら前向きに現場に向かっていた。

現場で待ち構えていたのは、専務の若村という人物だ。若村という人間は沢井オーナーと昔ながらの付き合いらしく、新築マンション販売のトップを任されている。見た目は優しそうな感じで、言葉尻も柔らかいのが若村の特徴だ。カネーは仲介の部署で少し一緒に働いたことはあるのだが、直接の部下になるのはこれが初めてだった。

 

「やあカネー君、よろしく」

「よろしくお願いします。」

「仲介の部門では中々の成績だったようだけど、新築マンション販売は初めてなんだから自惚れないでね、宅建も持ってないんだから」

 

会うなり優しい口調だがかなり厳しい言葉をかけられた。

そう、新築マンション販売の部署には宅建を持っているのは若村のみで他の社員は誰一人として持っていないのだ。その為、新築マンションの申し込みをとったとしても契約は若村に行ってもらう必要があり、皆、若村には頭を下げて契約を頼む必要がある。

不動産会社で働くには当然のことだが宅建士の資格を持っていないと不利なことが多い。サイコパス社でも当然宅建士の資格を持っていないものが契約をとっても重要事項説明書を読むことができないので、資格を持っているものに頼むのだが、その際には本来得られるはずだった歩合の中から、読んでもらった宅建士に対してお金を払わなければならない。

サイコパス社の場合は宅建士をもっている人間が少なかったので、歩合の中から1万円を宅建士に支払うことになっているのだが、宅建士が多い会社では資格をもっていない者は歩合の20%を宅建士に払わなくてはならない会社もあるらしい。

カネーも若村には散々宅建士の資格をとれと発破をかけられていたのだが尽く惨敗していたのだ。

 

「はい、すみません。今年は必ず受かります」

「カネー君、去年も同じこといってたよね」

「若村さんの部署にいるメンバー皆もってないじゃないですか」

「あいつらにはもう期待してない」

 

「なんの話をしてんですか」

短髪で堀の深い顔をしたぱっと見モテそうな顔をした青年がやってきた。

「お前の話だよ」

若村は笑いながら言った。

やってきたのは若村の部下の代田だ。

「俺は、頭の悪いのは分かってんで勉強は無理なんすよ。営業は好きっすけど」

代田はもともとハウスメーカーの営業をやっていたのだが、車で事故を起こして免許取り消しになってしまい、ハウスメーカーをクビになり、サイコパス社に入社してきた。車の免許がないと仲介部門で使うのは難しいが、新築マンションの販売であれば車を使うことはほとんどないことから若村の部署に配属されたのだ。キャバクラが好きで、話すことも面白く、営業としての才能はある人間だ。

 

「カネーさんよろしくっす、住宅ローン詳しいらしいっすね、困ったら頼んます」

「はいはい」

カネーは冷たく答えた。カネーはこの男と競争になるなと踏んでいたので、あまり仲良くしようと思っていなかった。何しろ売らないと歩合がはいらないのだ。それと同時に話の面白さではこの人間には勝てないと思っていた。少し気を締めていかないとなと気合を入れ直したした。

 

今回売るマンションは竣工済みのマンションだった。一般的に新築マンションの販売はマンションの建築中に販売センターを建築し、販売センターの中にモデルルームを作ってから商談をすることが多いのだが、戸数が少ないマンションの場合はモデルルームを作る予算を考えると、竣工させてから実際に建物をみてもらい販売することもある。今回の戸数は50戸だった為、モデルルームは作らずに実際に本当の室内をみてもらってからの販売だった。

「実際に建物をみてもらうのだから、仲介の時と案内は変わらないと思う。カネー君は新築は初めてだろうけど頼んだよ」

「はい、頑張ります」

「若村さん、俺は前のマンションの時でモデルルームでも売ってたんで楽勝っす」

代田はカネーより後に入社したのだが、すぐに新築マンションの部署に配属されたのでカネーより一足先に新築マンションの販売をしていたのだ。

「マンションごとに特色が全然違う、お前が以前売ってたのは都心の単身用で、今回は郊外のファミリー用だ。舐めてかかるなよ」

「はいっす」

 

今回は資料請求者に対してプロジェクト説明会というお披露目会を開くことになっていた。資料請求者に対してお披露目会の案内を送り、感度の高そうな顧客がどれくらいいるかを把握することができるし、どれくらいの予算、収入がある方が問合せをしてきているかも把握できる。

資料請求数ももちろん大事なのだが、いかに来場者を増やすかが新築マンションを売るには大事になる。歩留まりといって戸数に対してどれくらいの来場者数があれば完売にいたるかという数値があるのだが概ね15%は必要だと言われている。つまり50戸売りきるには最低でも約333名の来場が必要なのだ。

「カネー君と代田君は資料請求者に対して資料を送ってくれ、プロジェクト説明会の案内も併せてだ」

「分かりました」「はいっす」

資料請求は直接営業が資料をまとめて、クロネコDM便で送ることになっていた。戸数が少ないマンションだと、こういった雑務も全て営業がおこなうのだ。HARUMIFLAGのような専属の部隊などいない。

 

カネーは初っ端から疲れていた。そもそも神奈川の郊外まで通うのさえ大変なのに、ほとんどの作業は雑務であり営業ではない。販売がまだ始まっていないので当然ではあるのだが、このマンションを売り切るまでこの現場から離れられないと考えると気が遠くなりそうだった。反対に代田の方は経験してるから慣れたもので、手際よくこなしていた。まだ営業さえ始まっていないのにカネーは焦っていた。

 

 

次回予告

いよいよ新築マンションの販売がはじまる。

カネーは仲介の時のような成績を残すことができるのか。

次回、『カネ田一少年の憂鬱「新築マンションの販売編2」』

次回もサービス、サービスゥ

 

マンションの紹介

COCOCHI FIRST PROJECT(ココチファースト プロジェクト)


 


  • 所在地 :埼玉県鴻巣市本町五丁目2758番1(地番)、 埼玉県鴻巣市本町五丁目以下未定(住居表示)
  • 交通:JR高崎線「鴻巣」駅 徒歩5分 湘南新宿ライン高海「鴻巣」駅 徒歩5分
  • 総戸数 :337戸(他管理室1戸)
  • 構造および階数: 鉄筋コンクリート造、地上15階建
  •  駐車場:敷地内に265台設置[機械式262台、平置3台(福祉対応1台、来客用1台、カーシェア1台)(内9台はEV充電対応)]月額使用料:8,000円~13,000円
  • 駐輪場:敷地内に678台設置[2段ラック式639台(屋根付)、平置35台(屋根付)、来客用4台(屋根なし)]月額使用料:100円~500円
  • バイク置場:敷地内に7台設置(屋根付)月額使用料:1,500円
  • 電動シェアサイクル置場:敷地内に4台設置(屋根付)
  • 完成時期: 2025年2月下旬(予定)
  • 販売価格 :3,998万円~6,428万円
  • 間取り :1LDK+S(納戸) ~ 4LDK
  • 専有面積 :58.83㎡ ~ 88.44㎡
  • 坪単価:224万円~239万円
【口コミ掲示板】COCOCHI FIRST PROJECT(ココチファースト プロジェクト)ってどうですか?


安定の駅近の大規模マンション、都心まで乗り換えを強いられている私としては、都心まで乗り換えなしでいける高崎線沿線はありだと思ってます。都心までの物理的距離は気になりますが、乗り換えなしで東京駅まで1時間を切れるので都心通勤が可能な物件だと思います。

郊外の物件のリセールは都心に比べれば当然劣ります。リセールを気にするのであれば都心の方が固いのは確かです。でもリセールだけをメインに考え理想ではない狭いマンションを買うのであれば、マンションは住む場所なので日々の生活のクオリティをあげる為に購入して欲しいと思います。

ここまでご覧頂きありがとうございました。

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COCOCHI FIRST PROJECT(ココチファースト プロジェクト)
  • 埼玉県鴻巣市本町5丁目
  • JR高崎線・湘南新宿ライン・上野東京ライン 鴻巣 駅徒歩5分
  • 2900万円台~6400万円台(予定)
  • 1LDK+S(納戸)~4LDK
  • 58.83m2~88.44m2
  • 販売戸数 未定 / 337戸

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不動産ベンチャー企業で仲介業をしていた経験を活かせると思いスムラボに応募しました。 忖度はせず本音で物件のことを書こうと思います。 [寄稿] マンションコミュニティ:スムラボ派出所スレ

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