オリンピック後のマンション価格について考えてみた(後編)

前編ではオリンピック後のマンション価格について予想し、その根拠について整理してみました。前編をご覧になられていない方はまずは前編からご覧いただくことをおすすめします。

オリンピック後のマンション価格について考えてみた(前編)【2LDK】



結論として高価格化(プレミアム化)と面積縮小化による「グロスは微増、単価は上昇」のトレンドとなる可能性があることを予想しました。

では、「グロスは微増、単価は上昇」のトレンドを見据えてオリンピック後のマンション選びについて後編では考えていきたいと思います。

前提

「グロスは微増、単価は上昇」のトレンドが続く限り、マンション購入を待てば待つほど、良い立地は埋まっていき、同じ価格で購入できる面積は小さくなるので、早く買うメリットが大きくなります。

そして後から出てくる新築の単価が上がるということは購入しているマンションの価格も比例して上がりますので、万が一に手放す際の残債割れリスクも限定的です。注意しないといけないのは、前編でも触れている、住宅ローンの金利や税制の改悪、その他の予測不能な事象によってマンションの価格がダウントレンドになった時です。

購入されたマンションに何十年と住む前提の方が大多数だと思いますが、転勤や家族構成の変化等で購入したマンションを手放さざるを得ないケースもありますし、在宅勤務がより浸透して、職場の近くに住む必要がなくなるかもしれません。

そういったリスクの低い方はこの後触れる出口(=中古での売却)についてはあまり気にすることなく、自分や家族の好きな場所で好きなマンションを購入したので良いと思います。(そんな方は好きな土地に好きな戸建てを建てるのが幸せかもしれません)

この記事を読んでいただいている方の中には、そうでない方も多くいらっしゃると思っています。私もその一人です。そんな方は、住んでからの満足度と売却時の資産性のバランスを考慮する必要があります。いざ売却しようとした時に購入金額から大きく値下がりしてしまったことで、住宅ローンの返済ができず売却できない…といった事態は避けないといけないためです。

価格下落を過剰に恐れて買い控える必要もないですし、手当り次第にマンションを購入するのが正解とも思えません。恐らく人生で最も高い買い物を行うことになるので、正しく恐れた上で、ご家族にとって最高のマンションを購入いただくことが重要だと思います。

高価格化(プレミアム化)

好立地の一部マンションは高付加価値・高価格化が進むと考えています。一方で今後住宅ローンの金利や税制が改悪された場合、住宅ローンを使って購入を行うサラリーマンの購入予算は下がることが想定され、高価格化マンションの需要が低下する恐れがあります。

このような高価格化マンションの出口を考える時に注意しないといけないのは、「シニア」(本記事では60歳以上の方を「シニア」と定義します)の方に選ばれるかどうかが重要な要素だと思っています。

なぜシニアの方なのか?シニアの方が保有する個人の金融資産は非常に多いためです。概算になりますが、日本において個人が保有する金融資産は約2,000兆円、そのうち60歳以上が約65%も保有しています。単純計算で1,300兆円になります。当然このお金が全てマンションに回ることはないですが、1%でも13兆円と莫大な金額になります。

首都圏の2020年の新規マンション販売戸数が27,200戸、平均価格が6,084万円であったことを考えると、2020年に発売された首都圏の新築マンションを全て買っても約1.6兆円ですので、シニアマネーの規模の大きさがイメージできるかと思います。

個人保有の金融資産推移。日本銀行調査統計局資料より画像引用


金融審議会 市場ワーキンググループ報告書(案)「高齢社会における資産形成・管理」より画像引用


ちなみにシニアの方の住宅購入マインドはコロナの影響で冷え込んでいます。「今買わないと」という必要性が低い中で、コロナ感染のリスクを冒してまで住み替えをしようと思う人が減ったのだと思います。裏を返せばコロナが落ち着いてくれば、シニアの方による住宅購入がより盛んになりそうです。

下の表はコロナが住まい探しへ与えた影響に関するアンケート結果です。50・60代の住宅購入が促進された割合は低く、抑制された割合は高い結果となっています。

リクルート社実施「コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査(首都圏)」より画像引用(筆者赤枠加筆)


では、どんなマンションをシニアの方が購入するのかについて考えてみたいと思います。

エリアNo1マンション

シニアの方の住み替えは同じエリア内での引っ越しが多いと考えられます。長年住んだエリアへの愛着もあるでしょうし、人間関係を一から作り直すのも大変だからです。つまり今住んでいるエリア内で終の棲家を探します。

そうなった際に、お金のことを気にせずどこに住みたいかというと、そのエリアのランドマークとなるようなマンションを選ぶことが想像できます。エリアNo1マンションは生活面でも便利なことが多いので、日々の生活の便利さを求めるニーズにもマッチします。

利便性の高さ

年をとって歩くのが大変になってくると日々の買い物一つとっても大変です。終の棲家に求める条件として生活利便性の高さを重視する方が増えてくると思います。免許を返納して車が使えなくなると公共交通機関の利用頻度が増えるので、駅までの距離もより重要になります。

駅・商業施設・病院など日々の生活で利用する施設に物理的に近いマンションはより評価されるようになります。マンション内の共用施設が充実していることもプラス材料です。

開放感

開放感はより重要視されると思います。予算に余裕があるシニアの方が終の棲家として選ぶ自宅として、窓を開けたら前建てのきつい部屋を積極的に選ぶとは思えません。家で過ごす時間が長くなるであろうからこそ、リビングからの眺めは開放感があって気持ち良い部屋を選びたいと思うはずです。

よって少々コスパがいいからといって前建ての厳しい部屋や日当たりの悪い部屋は選ばれにくいと思います。逆に素敵な眺望はプラス材料です。素敵な眺望は必ずしも高層階である必要はなく、敷地内の緑地が充実していればそれを眺めることができる間取りも良いと思います。

資産性の高さ

上記3つは実需の観点ですが、相続税対策としてマンションを購入するケースもあります。

相続税対策で購入されるのは資産性の高いタワマンが多いと思いますので、エリアは関係なく資産性の高いマンションは需要があります。

面積縮小化

すでにその兆候は出てきていますが、専有部の面積はどんどん削られていきます。

このまま面積縮小化が進むと、同じ価格で購入できる面積は小さくなりますので、当然ながら生活は不便になります。また売却する際にも周辺の他中古と比べて面積は劣後することになるので、それを打ち消す魅力が必要になります。

充実した共用施設

単純に部屋の面積が小さくなるだけでは生活は不便になります。マンション内の共用施設が充実していたり、周辺に商業施設が充実していると住まいの機能の一部をアウトソーシングすることができるので、部屋が狭くなっても多少は便利に生活ができます。

また魅力的な共用施設は中古で売却する際も検討者の後押しになります。特に仕事や勉強ができるスペースのニーズが高まりそうなので、スタディスペースやコワーキングスペースが充実しているマンションであれば、子どもの勉強スペースや書斎を割愛もしくは小さくすることで妥協できる検討者が出てくるように思います。

4LDKのプレミア化

面積が小さくなっていく一方で、前編でも触れたとおり部屋「数」の需要は増えていくと想定されます。

面積縮小化の中では大きな面積を必要とする4LDKを積極的に企画するデベロッパーは少ないと思いますので供給は減っていくものの、従来3LDKを検討していた層が+1部屋需要で4LDKを求める動きは加速し需要は増えていくため、需給のバランスが崩れてプレミア化しそうです。

不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向2021年7月」より画像引用(2021年7月に発売となった住戸のタイプ別戸数)


もちろんそれぞれのご家庭に必要な部屋の大きさや間取りを選んでいくことが重要ですが、4LDKの新築は希少な存在となっていきそうです。

おすすめの新築マンション

出口を考えた時にどのような特徴を持ったマンションが需要があるかを考えました。

現在販売中の新築マンションで条件にマッチしてそうなマンションをピックアップしましたので、ご紹介したいと思います。

パークコート神宮北参道ザタワー


417戸の大規模タワマンです。特徴的な外観デザインだけでなく、共有部の仕様も非常に高いです。最寄りは北参道駅と少しマイナー駅ですが、山手線:代々木駅まで徒歩6分と利便性も抜群で、新宿御苑・明治神宮に挟まれたロケーションは希少です。

立地・規模感・存在感は周辺マンションと比較し頭一つ抜けており、エリアNo1マンションとしての継続的な需要が期待できます。

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ザ・パークハウス板橋大山大楠ノ杜


敷地内に整備される庭園の豪華さは圧巻です。ハッピーロード大山商店街目の前という利便性と豪華な庭園を敷地内に持つ落ち着いた住環境のバランスが絶妙なマンションです。

まさにシニアの方に受けそうな高級感や開放感があります。

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白金ザスカイ

白金ザスカイ公式HPより画像引用


山手線内最大戸数のマンションということで存在感は抜群です。商業施設や医療施設も併設される上に、白金高輪駅までも徒歩3分と駅近で生活はとても便利です。

北向きは多くの住戸で東京タワービューとなりますし、囲まれ感がないので開放感もあります。

また港区白金アドレスということで相続税対策でのニーズもありそうです。営業担当の方曰く、最上階の部屋は5億円(記憶があやふやですが)くらいと高額だったにも関わらず、あっという間に売れてしまったとのことでした。

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パークタワー勝どき


ミッド棟とサウス棟の2棟構成となりますが、ミッド棟は駅直結・商業一体開発で生活利便性は高く、エリアNo1のマンションになります。周囲にタワマンが乱立しているので、眺望のぬけ感は限定的ですが、駅直結ながらも水辺に面しており、敷地内の緑も豊富です。

サウス棟は駅直結ではなくなりますが駅まで屋根で直結していて、エントランスが豪華でゆとりがあります。シニアの方も住みやすく、開放感を感じやすいマンションだと思います。

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パークシティLaLa横浜


ららぽーと横浜に隣接するという抜群の利便性です。また705戸と大規模マンションであることからスケールメリットを活かし、マンション内の共用施設も充実しています。

ららぽーと隣接ということもあって子育てファミリーを意識したマンションです。お子様のいるファミリー世帯には刺さりそうなマンションだと思います。

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ブリリアシティ西早稲田


山手線内側という都心ながら454戸という大規模マンションになります。都電荒川線:面影橋駅は徒歩1分ですが、それ以外の駅にはどこも徒歩10分以上かかるという立地です。

本マンションはコワーキングスペースが隣接しています。マンションの共用施設ではないため、無料利用はできないですが、有料だからこそしっかり作り込まれたコワーキングスペースになっていることはむしろ高評価です。

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シティタワーズ東京ベイ


大規模ショッピングモールである有明ガーデンに隣接しています。有明ガーデンにはイオンスタイルが入っており、品揃えも十分です。子ども向けテナントも豊富で買物も便利です。他には温泉やホテル、劇団四季の劇場やイベントホールもあったりなど年間を通して様々なイベントがあるのも魅力的です。

3棟のタワマンで構成される1,539戸の大規模マンションですが、周辺のマンションに比べると共用施設は控えめです。有明ガーデンを最大限利用することを想定した合理的なマンションになっています。

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晴海フラッグ

晴海フラッグ公式HPより画像引用


多くの魅力と懸念事項があるので詳しくは過去の記事をご覧いただければと思いますが、オリンピックを通じて海とレインボーブリッジ目の前という「超望」がより評価されて人気に拍車がかかっています。

晴海フラッグの魅力の一つである豊かな植栽が完成しておらず、まだ完全体にはなっていません。個人的にはあの広大な敷地一面に植栽が整備されればさらに評価が増すと思っています。完成は数年後になりますが楽しみです。

晴海フラッグの特徴の一つが4LDKの数の多さです。今後4LDKがプレミア化していくと面積に余裕のある4LDKというのは希少価値が出てくると思います。(ただし晴海フラッグ内の4LDKと競合する可能性もあるため、晴海フラッグ内でも特徴のある4LDKを選ぶことが重要になります)

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最後に

後編ではオリンピック後のマンション価格を踏まえて、どんなマンションを選んでいく必要があるのか、考えてみました。

年々単価が上昇していく中で利便性と資産性のバランスの取れたマンション選びの難易度は上がってきていると思います。一方でそんな中でも毎年魅力的なマンションは供給されています。難易度が上がってきているからこそ、特に新築派の方はアンテナを伸ばしてより広域のマンションを見ていくことが必要となってきています。

マンションは家族の幸福度を上げる手段の一つですので、個々人の環境に合わせて最良の選択をいただければ良いと思います。賃貸にするのも選択の一つです。

ただ、マンションを購入した立場からすると、マンション購入による幸福度の向上は非常に大きかったです。コストが同じだとすると幸福度は購入したほうが断然高いので、コストと幸福度のバランスを考えてマンション購入を検討いただければと思います。

今後もスムラボにて広域新築マンション検討の方向けにマンション情報を発信していきますので、引き続きご覧いただけますと嬉しいです。

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