はいはいはいはいはい、元鉄道運転士のカネーです。
カネ田一シリーズの3になります。
1はこちら → [雑記] カネ田一少年の事件簿 1
2はこちら → [雑記] カネ田一少年の事件簿 2
いざ、接客へ
お客様とアポイントがとれましたので接客へ向かいます。
サイコ「俺が初めは接客するから見ておけよ」
カネー「分かりました。」
近くの喫茶店 関東ではお馴染みにの【ルノアール】での接客です。
ここのコーヒーは高いですが、高いだけあって静かな空間を提供してくれます。
私は接客や商談の時はほぼルノアールを使います。
サイコ「お忙しところありがとうございます。さっそくですが物件の説明をさせて頂きます。」
お客様「説明はいいから内覧ができない理由を教えてよ」
サイコ「はい、実はオーナー様が他人に貸しておりまして賃貸中の物件でございます」
お客様「それだと住めないじゃないか。オーナーチェンジってことですか?私は居住用で探してるんですよ!」
少しお怒り口調でお客様は話します。
カネー「(そりゃそうだ)」
サイコ「いえ、こちらの物件は居住用でご紹介しております。」
お客様「どういうことですか」
サイコ「もしお客様がこちらの物件を内覧せずに気に入って頂けましたら我々が退去交渉を致します。」
カネー「!!!!!!!!!!!!!!」
サイコ「ただし、退去費用としてお客様にはお家賃の約6か月分を諸費用として頂きます。」
カネー「(ぬあーんにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!)」
お客様「なるほどーー…6か月分とはどれくらいですか」
サイコ「こちらの物件は家賃14万円で賃貸されておりますので、840,000円ですね。ただこればかりは交渉によって増減がございますので少し安くなったり若干高くなったりします。もし7か月分頂けるようでしたら確実に退去させます。」
お客様「失敗もあるということですか?」
サイコ「9割は成功させる自信がありますが、稀に拒否される方もいらっしゃいますので。」
サイコ「ただし、退去交渉は売買契約成立後に行います。その為、売買契約自体は停止条件付の売買契約とさせて頂きます。また残金決済の時期は契約から最長6か月の期間を頂きます。」
お客様「どういうことですか」
サイコ「つまり売買契約は売主様と締結させて頂きますが、退去交渉が失敗したら白紙解約とさせて頂きます、退去交渉が成功することが売買契約成立の条件となります。また退去交渉が成功しても賃借人様にも次の家探しなどの準備期間が必要ですので6か月の期間を頂きたいです」
お客様「売買契約締結の前に退去交渉をされないのはなぜですか。」
サイコ「こちらの案件ですが我々は銀行から依頼され動いておりますして売主様の事情があります。」
サイコ「賃借人様が退去されたらすぐに残金を決済する必要がございます。なぜなら売主様には資金体力がなく、家賃が入ってこない状況になるとローンの支払いがとまってしまうのです。我々は銀行から案件の紹介を受けて動いておりますので、ローンの支払いをとめるわけにはいかないのです。その為、購入者様が決定している状態で退去交渉をする必要があるのです。」
カネー「(サイコパス…やはり仕事はできるなこの人…)」
お客様「なるほど理解しました。とはいえ、約80万の捻出は少し重たいですね…」
サイコ「こちらの物件はオーナーチェンジ物件としては少し高いですが、実需として買われるのであれば割安ですよ。」
サイコ「ただ、退去費用というのは住宅ローンの諸費用には組み込めませんので、現金でご用意頂く必要がございます。」
お客様「そこですよね、だせなくはないですが。問合せした物件金額から諸費用もある程度見込んでおりまして、諸費用は仲介手数料含め全額現金で支払うつもりだったので、貯蓄がそれ以上減ってしまうのが少し納得できなくて…」
カネー「(まー確かに。相場より安いとはいえ問合せ時点より全体的に価格があがるのは少し納得できないかもな…)」
サイコ「お客様、分かりました。でしたら、退去費用の想定80万ですが、物件価格から引きます。」
カネー「(えぇ!残債ギリギリでだしてたはずじゃ)」
お客様「ほんとですか、それであれば買いたいです。」
サイコ「ありがとうございます。ではこちらの購入申込書でご署名ご捺印をお願い致します。手付金は100万円ご準備頂きたいのですが可能でしょうか。」
お客様「わかりました。準備します。」
接客は無事に終わりました。
サイコ「次回からは俺はもう接客しないからカネー一人でやってくれよ」
サイコ「アポイントを切る時は絶対に内覧できない理由を電話で話すんじゃないぞ、電話で話してしまうと会ってくれない可能性が高い、とにかく会ってから理由を説明するんだ、分かったな」
カネー「わ、分かりました。」
カネー「サイコさん!物件価格から割引を提示できたのはなぜですか」
サイコ「残債ギリギリとは言ったが、我が社がもらう仲介手数料分は販売価格に上乗せしてあるだろ?」
カネー「そうですね」
サイコ「だったらそこからひいてやればいいんだよ、ただし売主からは決済時でなくてもいいから満額の手数料はもらうがな」
サイコ「住宅ローンを完済すると、購入した時に払った保証料が返金されるんだ、借入額の2%は先に払ってるはずだからその返還分から手数料をもらう、さらに決済までは最長6か月とってもらってるから、その間、残債が減っていくだろ。それを計算にいれて割引額を提示したまでだ。」
カネー「(なるほど、やはりこのサイコパス仕事はできる…)」
以後
私はこの後、アポイント取得から接客を含め全部一人でこなすようになります。
その結果多くの物件を成約させました。サイコパスの言う通りに電話では理由を言わない、会ってから誠心誠意理由を説明する。また無理に申し込みを斡旋しない。お客様が欲しいといったときだけ申し込みの手配をとる。これを徹底するだけで面白いように申し込みがとれ、営業成績がうなぎのぼりになりました。このアポイントの取り方のいいところは、感度の高いお客様と低いお客様をふるいにかけられるという点でした、冷やかしや、少し興味があるだけのお客様に関しては、内覧できない旨を伝えると「じゃあいいや」となることがほとんどで、無駄な時間を割く必要がなくなります。実際に本当に欲しいと思っているお客様、物件が早急に必要なお客様のみに会うことができ、そのようなお客様には例え問合せの物件が気に入らなかった場合でも、近隣の別物件を持っていくことによって成約率があがりました。おかげで私は年間3,600万円ほど手数料で数字をあげることができ、正直社内でも調子に乗っておりました…
しかしながら当然ですが物件の購入まで時間がかかるお客様もいらっしゃいます。そういうお客様をフォローするのも仲介の営業マンとしては大事だと思っています。ただ、当時の私は仲介で何か月もお客様を追いかけるのはナンセンスだと思っていました。このインターネット普及の時代、お客様は物件を自分で見つけることができます。昔の不動産屋のスタイルでレインズから物件を選定しあれどうですか、これどうですかとメールやLineをする作業は無駄だと思っており、すぐ買わないお客様については全く追客をしていませんでした。
私とは対照的に追客をしっかりやる後輩がいました。売り物件を握っているうちは私の方が数字はよかったです。しかし売り物件がなくなっていくにつれて後輩の数字が私の数字を脅かすようになったとき、これではいけないなと思い直したことをよく覚えています。当然サイコパスの評価も追客をしっかりやる後輩の方がよくなっていき、自分を見つめなおした思い出があります。
すみません、書いていて思い出してしまい話がそれました。
この銀行案件は当然相場より安いのですが、中古物件を内覧しないで買うという点が非常にネックだと思います。新築マンションは内覧できなくても室内は綺麗で設備も新品です。しかし私が売っていた中古マンションが築10年、さらに賃貸中ということで設備の状態は全く分かりません。
ここでお客様を安心させるために自分からネックをお話ししていました。
「壁紙の交換は必須だと思います。費用は1平米あたり1,000円をみてください。床、壁、天井をあわせると専有面積の約3倍が壁紙を全部交換した場合の面積です。50㎡の部屋なら150㎡、つまり150,000円ほどです。」
「また設備に関しては壊れていることはありません。なぜなら弊社で管理をしておりますので壊れた場合は賃借人様から連絡がきます。その連絡が来ていないので現状は壊れておりません。」
「ルームクリーニングは50㎡でしたら70,000円ほどでご紹介できます。」
このようにお客様が気にしている部分をこちらからお話しすることによって、お客様の不安がとれていきます。また近隣に似たような間取りのお部屋があれば案内をしていました。
今後のお部屋探しの参考にして頂ければということで、オーナーチェンジ物件でもこのような購入の仕方があるというご紹介でした。
実際に私が売っていた物件は実需だったら割安でした。また退去交渉後のお部屋が荒れていたこともありませんでしたし、賃借人様が故意に壊していたものは賃借人様の費用で直して頂いております。
オーナーチェンジ物件が出ていた場合、仲介会社に退去交渉をしてくれるよう頼んでみてはいかがでしょうか。もしかしたら割安の中古物件を買うチャンスがくるかもしれません。
退去交渉は?
さて、肝心の退去交渉はどうなったのかが書かれていません。
それは次回にさせて頂きます!
次回はサイコパスの退去交渉です。
お楽しみに!
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