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目次
- 1 はじめに
- 2 勾当台・定禅寺通エリアの定義
- 3 策定の背景
- 4 目的等
- 5 まちづくりの理念
- 6 方向性
- 7 勾当台・定禅寺通エリアにおけるデータ等
- 8 代表的な建築物や公共空間と、それらにおける今後の取り組み等
- 9 おわりに
- 10 宣伝
はじめに
- これまで数回にわたり、仙台市における都市計画やまちづくりに関する地方政策や施策を紹介してきました。
- 本稿は、話の舞台を勾当台・定禅寺通エリアとし、2020年5月に策定された “勾当台・定禅寺通エリアビジョン” を主体として、報道機関による情報と合わせ、当該エリアにおける今後の展開を紹介するものであります。
勾当台・定禅寺通エリアの定義
策定の背景
- 建築物の老朽化
- 日常的な人通りの仙台駅周辺への集中
- 50年から100年に一度と言うべき、公共施設・公共空間の再整備の集中
- 新型コロナウイルス感染症の流行がもたらす生活様式や価値観等の変容による大都市から地方への関心の高まり、都市間競争が発生する可能性
目的等
- 令和12年度を目標年次として、公・民が共有するまちづくりの理念と、仙台市としての施策や取り組みの方向性を示す
- 他エリアとの関係性を意識し、① 個性・強みを磨くまちづくりを都心各所に広げ、② それぞれのエリアの個性・強みが際立ち、③ 多様な魅力がつながる 「将来にわたり選ばれ続ける都心」 を目指す
まちづくりの理念
“交流” と ”ゆとり” を楽しむところ~ みんなで育む “仙台の庭” ~
方向性
まちづくりに寄与する公共施設、公共空間をつくる
- 各エリアの各所において、それぞれの立地等の特性を考慮した、将来に向けた公共施設等の新たな利活用方法やあり方の見直し
- 多くの人々が気軽に立ち寄り、多彩な活動に触れ、質的な暮らしの豊かさを実感できる機能と、開放感のあるデザインの導入
- 仙台市の象徴的な景観を守り、植樹から60年を超えたケヤキ並木の植え替えを始めとする計画的な保全のあり方の検討
公・民の空間をつなぎ、人や活動をつなぐ
- 公共施設・公共空間の老朽化対応や周辺民間施設の更新・リノベーション等の機会を捉えた、シームレスな一体的空間の創出と運用
- 民間施設の開発や更新、リノベーション等における、公開空地の整備や利活用の促進、連続する質の高い緑化の誘導
- 民間主体が、広場や歩道、公開空地等を継続して、公益的に利活用する仕組みづくり
多くの人々や民間投資を呼び込む
- 多様な主体が協働するエリアマネジメント組織による、ブランディングや公・民の空間の利活用、文化芸術・市民活動や大小のイベント開催の日常化
- 建築物の用途・機能の複合化促進や、みどり豊かで利便性の高い環境のアピールを通じた、企業・テナント等の誘致
- エリアへのアクセスを容易にする、様々な情報と人々とを結ぶ MaaS等情報通信技術の活用・推進、公共交通の情報提供や案内誘導の改善等の人々の移動のしやすさの向上
勾当台・定禅寺通エリアにおけるデータ等
建築物の老朽化
- 特に商業系建築物における築年数の経過の多さが顕著
- 業務系建築物においては、築20年程度も多いが、40年以上を経過している建築物の割合も多い
就業者数
- 仙台駅周辺とほぼ同等
居住者数
- 絶対数では、勾当台・定禅寺通エリアの方が仙台駅周辺に比して多い
- 直近5年間の増加率でみても、勾当台・定禅寺通エリアの方が仙台駅周辺に比して高い
歩行者通行量
- 仙台駅東西自由道路周辺は、金曜日と日曜日を問わず、増加しており、集計4地区では最も多い
- 名掛丁アーケードは、直近10年以内では、増加率が最も顕著
- フォーラス・大井宝石前、およびカワイ前は、金曜日と日曜日を問わず減少しており、特にフォーラス・大井宝石前の減少率は、最も顕著
- これらのことから、仙台駅西口周辺に人が集まり、そこから離れていくに連れて、人通りの減少が示唆される
代表的な建築物や公共空間と、それらにおける今後の取り組み等
エリア全体の一覧
錦町公園 (昭和31年開園、平成16年リニューアル)
- 本町周辺や仙台駅方面とのつながりを意識した将来の利活用
- 民間等と連携した公園の利活用
市民会館 (トークネットホール仙台) (昭和48年完成)
- 市民会館の更新を行わない
- 西公園や青葉山方面との自然資源や歴史的なつながりを意識した将来の利活用
せんだいメディアテーク (平成12年完成)
- 1階のプラザ: オープンスクエアでのイベント、カフェ、ショップ
- 2、3階: ライブラリー
- 5、6階: ギャラリー
- 7階: スタジオ
- 文化発信をはじめとする魅力向上の相乗効果を生む、周辺のまちづくり活動との連携や積極的な公開空地の利活用
宮城県民会館 (東京エレクトロンホール宮城) (昭和39年完成)
- みやぎMPOプラザとともに、仙台医療センター跡地 (仙台市宮城野区) に移転集約されます
- 新施設については、県が整備する場合に2028年度の開館
- 移転後のエリアの活性化や魅力向上につながるような利活用
市役所本庁舎 (昭和40年完成)
- 建替え計画が進行しており、新庁舎については、令和10年度中の供用開始が予定されています。
- 建替えに関するこれまでの検討案としては、複合化整備として、行政庁舎と分譲マンションあるいは音楽ホール等の大規模他用途公共施設とする案が検討されていましたが、結論としてはこれらの案は見送られる事になりました。
基本設計中間案や報道資料を参考として、概要を示します
建物概要等
- 規模、構造:15階建 (高さ約80m)、地下1階、鉄骨一部鉄筋コンクリート建
- 主要用途
地下1階:駐車場
1、2階:市民協働・交流施設、飲食店などの商業施設
3階:機械室など
4~13階:行政機能
14、15階:議場など市議会機能 - 免震構造
- 特徴的な大屋根の設置
- 回遊性:敷地中央を南北に貫く通路、各建物を2階部分でつなぐ空中通路を配置
- 3日分の自家発電燃料と7日分の飲料水を備蓄
- 災害時は、敷地内を一時避難場とする
- ビル風を低減:正四角柱の北西角、南東角をへこませたような形状とし、夏は南東風、冬は北西風を庁舎に取り込む
建物デザイン、完成イメージ
作業手順、および本庁舎配置図
シームレス化
- 新本庁舎低層部や敷地内広場から勾当台公園市民広場等まで含めた周辺エリアの一体的な魅力とにぎわいに貢献する空間づくりについては、公民連携の検討会を実施中 (ウェブサイトへのリンクは、後記を参照)。
おまけ その1 (地方都市の役所を紹介)
- 福島県伊達郡国見町役場
- 福島県桑折町役場
- 福島県伊達市役所
- 福島県福島市役所
- 福島県須賀川市役所
- 市役所には、円滑な行政機能の推進するための機能が備わっている事が大前提ですが、市民が気軽に行けるデザインや雰囲気、庁舎内における心地良さなどが加わり、当該市の “顔” となりますので、これらが配慮された仙台市役所の更新を楽しみにしています。
勾当台公園 (昭和31年開園、平成元年リニューアル)
市民広場 (重点ゾーン)
- 一部施設の老朽化
- 仙台市役所新本庁舎低層部や市民広場との一体的活用
定禅寺通 (昭和33年ケヤキ植樹、平成11年-13年シンボルロード整備)
- 植樹から60年を超えたケヤキ並木の植え替えを始めとする計画的な保全の在り方を検討
- 滞在を楽しむストリートづくりを意識した、歩道や沿道の空地等がシームレスにつながる空間の創出
- 民間主体が、広場・歩道、公開空地等を継続して、公益的に利活用する仕組みづくり
- エリアマネジメント組織等を主体とする、歩行者や滞在者の視線の高さを意識した街並みや空間の形成と維持、情報発信等によるブランディング、文化芸術・市民活動やイベント開催の日常化等に向けた支援・協働
おまけ その2
- 過去記事 でも触れましたが、旧三井アーバンホテル跡地に関する動向についてです。
- 重点ゾーンの再整備をする上では、この土地を現状の駐車場のままでスルーするわけにはいきません。おそらくは、土地の所有者 (宗教法人) と仙台市とで建築物の景観等の調整が行われているものと推察されます。
- いわゆる一等地にあたる場所であるが故に、仙台市の手腕がまさに問われるところです。
おわりに
- 宮城県民会館跡地の再開発は、最も個人的に気になるところです。当該エリアは、緊急整備再生都市に該当するため、仙台市都市計画マスタープラン地域別構想に示されたとおり、分譲マンションに生まれ変わる可能性は、無いものと思われます。
- これまでの用途を踏襲しながら、仙台市独自の目線による文化や芸術を育む公共施設を期待しているところであります。
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- 分譲マンションの選定等に関する有料相談を行っています。相談料等は、後記のフォームを参照下さい。
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