カネ田一少年の事件簿「住宅ローン編3」【カネー】

はいはいはいはいはい、元鉄道運転士のカネーです。

今回はカネ田一少年の事件簿「住宅ローン編3」です。

よろしくお願い致します。

 

1はこちら

カネ田一少年の事件簿「住宅ローン編1」【カネー】



 

2はこちら

カネ田一少年の事件簿「住宅ローン編2」【カネー】



 

 


 

前回のお話の振り返り

 

元夫と一緒に組んだ住宅ローンの連帯保証人のせいで、多額の返済をせまられている知美。

相談をうけたカネーは地元の金融機関に融資をお願いするもことごとく断られてします。

そこで思い浮かんだのはある人物だった。カネーは祈る思いで電話をかけた。

 

 

プルルルルル、プルルルルル

「カネーさんじゃないですか久しぶりですね。どうされました。」

電話の相手は爽やかな声で答えた。

「柳田さん、お久しぶりです。飲み会以来ですね。実は困ったことになりましてご相談させて頂きたいのですが。」

「分かりました。ではどこかでお会いしましょうか。」

「お願い致します。」

「明日、弊社の事務所でも大丈夫でしょうか。」

「大丈夫です、お伺いします」

 

カネーははやる気持ちを抑えながら事務所へ向かっていた。

柳田氏と出会ったのは、イケイケの外資系生命保険会社の営業マンが開いた異業種交流会だった。

カネーは異業種交流会という世間からみると胡散臭そうな集まりには興味がなかったのだが、信頼していた司法書士の先生が是非というので参加したことがある。

集まっていたのは、不動産会社の人間、土地家屋調査士、社会保険労務士、住宅メーカーの営業、広告の営業、金融関係などで、全てが営業をやっている人間だった。

外資系生命保険会社の営業から言わせると、他業種の営業だとお互い仕事になることも多く競合も発生しにくいので集まることに意味はあるようだ。

カネーはアメリカ式だなと思った。

そこで出会ったのが柳田氏だ。なんでも住宅ローンの仲介を行っているらしい。

通常住宅ローンは銀行に相談にいけば問題ないと思うが、それは通常のサラリーマンの場合だ。

世の中には銀行に相談に行っただけでは住宅ローンが組みたくてもが組めない人間がたくさんいる。

例えば、芸能人や自営業の方。携帯電話やクレジットカードの支払いの遅れから、信用情報が傷ついている人。借金がある人。日雇いで給与をその日払いでもらっている人など、他にもたくさんいる。

そんな方たちも当然家を買う時がある。そのお手伝いをしているのが柳田氏の会社だ。

「こんにちは、カネーと申します。柳田社長とお約束をさせて頂いてます」

「少々お待ちください」

受付の女性が答えた。柳田社長は独立されて数年なのに受付の方をはじめ、従業員が20名もいる。改めてすごいなと思った。

 

「カネーさん、こんにちは。お久しぶりですね。どうされました」

小柄だが爽やかな顔をしたスーツの似合う男が現れた。

「柳田さんご無沙汰しております。実は困ったことになりまして」

カネーは今置かれている状況を話した。

 

「なるほどね、それは大変ですね。元奥様は苦労されているでしょう」

「はい、何か良い方法はないでしょうか」

「なーに、簡単なことですよ。ご夫婦は既にご離婚されているんでしょう」

「そうですね、数年前にご離婚されてます」

「カネーさんは金融機関に相談にいかれた時に担当者に、元奥様に融資をとお話しされていませんか」

「はい、事情を話して全て説明しています」

「それじゃダメなんですよ、話してはいけない部分があるんです」

カネーは何を話してはダメか全く分からなかった。

「元奥様と言ってはダメです、ご離婚されているのだから今は赤の他人でしょ、話す必要がないんです。赤の他人がその破産しそうな人が所有している物件を購入する。ただそれだけです。それで審査を進めればいい。破産しそうだからお金を貸してくれではなく、住宅ローンで破産しそうな人の物件を買うんです。知美さんでしたっけ、その元奥様がね」

カネーには全くなかった発想だった。

「知美さんは連帯保証人になってるらしいですけど、物件の登記事項証明書には一切名前がでてませんよね?」

「はい、でていません」

「それはよかった、ペアローンや連帯債務で住宅ローンを組んでいたらこの方法は使えなかったけど、だったら大丈夫ですね」

 

住宅ローンを夫婦で組む場合は下記のような組み方がある。

・連帯保証型

※2人の収入を足して借入額を増やせるが借りるのは夫婦のどちらか1人。片方は連帯保証人となり主債務者の返済不能時に返済義務を負う。所有権は片方の名義のみとなる

・連帯債務型

※2人の収入を足して借入額を増やせる。片方が主債務者、もう片方が連帯債務者となるが双方とも平等に返済義務を負う。所有権は共有名義となる。

・ペアローン

※それぞれが別々のローンを借りてそれぞれ自分が借りたローンの返済義務を負い、別々に返済する。2種類の住宅ローンが借りられ、所有権は共有名義となる。

 

今回の陽介と知美の場合は連帯保証型の為、所有権は陽介だけ登記事項証明書に記載してある。知美の名前は一切でてこない。これが功を奏したのだ。

 

「ではさっそく知美さんの審査に入りたいので、必要書類を集めてください」

・直近の源泉徴収票2期分

・住民票

・身分証

・物件の登記事項証明書

 

以上が柳田氏から依頼を受けた書類だ。

「分かりました。すぐ手配します」

 

カネーは意気揚々と知美の元へ向かった。

助けることができるかもしれないという前向きな気持ちだった。

やはり、色んな人に出会っとくべきだなとも思った。

 

 

「知美さんこんにちは、カネーです。ご報告があって参りました。」

「実は金融機関からお金を借りるというのは難しかったのですが、知美さんにこの家を購入してもらうのであれば、住宅ローンでお金を借りられるかもしれません。」

「持主は元旦那の陽介ですが、私の持ち物になるということでしょうか」

「はい、その通りです。それで審査をしたいのですがいくつか質問がございます。」

カネーはペンとノートを取り出してメモの準備をした。

「今ご職業は介護士で正社員でしょうか。」

「いいえ、契約社員です。」

「勤続年数はどれくらいでしょうか」

「半年くらいかしら」

「月々の収入はどれくらいでしょうか」

「25万くらいかしら」

「今、住民票はどちらに置かれてますか」

「この家に置いています。」

「この家に置かれる前の住民票はどちらに置いていますか」

「実家に置いていました。」

 

カネーは質問をしているうちに不安になってきた。

(たしか柳田さんは、赤の他人同士で住宅ローンを通すといってたけど、住民票が赤の他人の家にあるっていうのはどうなんだろ…)

「知美さん、いつからこの家に住まわれているんですか」

「もう3年くらいになるわね。もともと離婚したあと私は実家に帰ったんです。その間に陽介は他人に賃貸にだしていたんだけど、私が子どもの学校の関係でこちらに戻ってきたいなと思ってね。陽介に確認したらちょうど借りてた人が出て行ったから住めばいいんじゃないかって、家賃は住宅ローンの支払い分を陽介の口座に振り込めばいいからってね。」

「実家で飼っていた犬も連れてきたかったし、アパート借りるよりは広いしでそうすることにしたんです。そしたらまさかですよね。」

「なるほど、ありがとうございます。」

カネーは変な汗がでていた。何とかなるかもしれないといったけど、何とかならない気がしてきていた。住民票は住宅ローン審査に絶対に必要だ。

住んでいる家を買うとは銀行にどう説明すればいいのか、元親族だということはすぐに分かってしまうのではないか。そんな思いが頭の中をぐるぐるしていた。それに勤続年数も短すぎる。半年しか働いてないのに住宅ローンの審査は通るのだろうかとも思っていた。

 

「カネーさん、カネーさん!!」

カネーは、びくっとした。

「大丈夫ですか、呼んでも反応がありませんでしたよ」

「は、はい!大丈夫です、必ず何とかします!お任せください」

「よろしくお願いしますね、カネーさんだけが頼りです。」

「はい、ではまた進捗を報告しますので、失礼します」

 

カネーは、不安いっぱいだったが柳田さんなら何とかしてくれるはずだと念じながら知美の家をあとにした。

 

 

カネーは早速得られた情報を持って柳田氏の会社を尋ねた。

 

「カネーさん、お伝えした書類は揃いそうですか」

「揃うには揃いそうなのですが、いくつか問題がございまして…」

カネーは恐る恐る柳田に話した。

「まず、勤続年数が半年しかないです。月々25万円の契約社員の方で正社員ではないです。」

「全く問題ないです!」

柳田は言い切った。

「あとは物件に差し押さえが入ってます、税金の差し押さえです。先に税金の差し押さえを解除するのは難しいです。」

「全く問題ないです!」

柳田はまた言い切った。

カネーは、すごいなこの人と思っていた。本来金融機関の担当で絶対などと言い切る人はいない。審査はやってみないと分からないし、言い切ってしまうとダメだった時に責任がとれないからだ。なのに柳田は大丈夫だと言い切っている。

「最後にもう一つ問題がありまして、今回の購入者の知美さんは購入しようとしている物件に住民票を置いて住んでいるんです。赤の他人が購入しようとしている物件に住んでいるのは通常有り得ないと思いまして…」

柳田はここでは大丈夫ですとは言わなかった。少し考えているようだった。

カネーさん少しお話しがあります。

柳田は低い声で話始めた。

 

マンションの紹介

 

北関東担当にもかかわらず、カネーは最近湾岸に出没しています。昔は湾岸なんて全く興味がなかったんですが訪れてみると悪くない。むしろ良いと思っています。

晴海フラッグはもちろん注目していますし、中古でもパークタワー晴海は機会があり内覧させてもらいましたが良かったです。

 

湾岸の何が良いのかと考えた時に広い空と広い歩道だなと私は感じました。特に広い歩道は再開発の場所や新しい街の特徴で魅力があると思います。

私自身さいたま市に住んでいますが、さいたま市の中で広い道路がある街で新築時に検討していたマンションが2つありました。

1つ目は浦和美園にあるルピアグランデ浦和美園
2つ目はさいたま市北区のリビオ大宮宮原
浦和美園は区画整理で出来た街。

宮原は地区計画で整備された街で双方とも広い歩道が魅力です。

 

ルピアグランデ浦和美園は新築時より中古が値上がりしてますが、全てが平置き駐車場にサイクルポートもついているという子育て世代にはとってもありがたいマンションなので条件あうひとは是非。

 

 

次回予告

 

柳田は静かに口を開く

葛藤するカネー

サイコパスは何を思うのか。

次回、カネ田一少年の事件簿「住宅ローン編」完

この次もサービス、サービスゥ!

 

 

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不動産ベンチャー企業で仲介業をしていた経験を活かせると思いスムラボに応募しました。 忖度はせず本音で物件のことを書こうと思います。 [寄稿] マンションコミュニティ:スムラボ派出所スレ

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