はじめに
- 本稿は、宮城県仙台市における新築分譲マンションに係る市況の個人的調べを紹介するものであります。
- 対象範囲は、共同住宅の用途であり、所有権を移転する方式で行われる売買物件であり、2017年から2024年までに竣工が行われた、ないしはその予定があるものとしました。
- ただし、棟売り物件については、対象外にしています。
- 期間は、暦年を採用しました。また、2024年の竣工予定に関しては、5月1日時点の広告状況に基づきます。
1) 竣工戸数
1-1. 前提条件
- 非分譲 (地権者住戸) を含む
1-2. 結果
1-3. 読み取れる事実
- 2017年と2019年における約1,800戸については、あすと長町における大規模マンションの竣工が影響しています (物件の紹介記事)
- 2021年からは、各年毎に、微増に転じています。
2) 一棟あたりの総戸数 (規模感) の割合
2-1. 前提条件
- 各物件の総戸数に応じて、後記のとおり分類をした。
50戸未満: 小規模
50戸以上120戸未満: 中規模-
120戸以上180戸未満: 中規模+
180戸以上: 大規模
2-2. 結果
- 中規模-、すなわち、50戸から120戸未満の物件が約60%。
- 続いて、50戸未満の小規模物件が約19%、大規模物件が約15%、120戸以上180戸未満の中規模+が約7%でした。
3) 売主
3-1. 前提条件
- JV施行による物件は、それぞれに戸数をカウントした。
3-2. 結果
3-2-1. 各年 (暦) 別
- 3位→2位→1位の順にて表記
2017年
- ワールドアイシティ→住友不動産→野村不動産
2018年
- 野村不動産→一建設→タカラレーベン
2019年
- タカラレーベン→住友不動産、ワールドアイシティ→三井不動産、伊藤忠都市開発
2020年
- セントラル総合開発→新昭和→野村不動産
2021年
- 野村不動産→住友不動産→タカラレーベン
2022年
- 東新住販、ヤマウラ企画開発→野村不動産→住友不動産
2023年
- 野村不動産→ワールドアイシティ、三菱地所→三井不動産
2024年
- ワールドアイシティ→野村不動産→タカラレーベン
3-2-2. 2017年から2024年までの総計
5位: ワールドアイシティ
- ワールドアイシティと言えば、東北圏を中心とした販売代理のイメージが強くあります。
- 仙台市を本社とする地元系企業ではあるものの、4つの大規模JV物件への関わりが功を奏し、分譲事業においても見事な数字を達成しています。
4位: 三井不動産レジデンシャル
- 恒常的に分譲物件をリリースする訳ではありませんが、中規模+から大規模物件を中心に集中的に供給をすることにより、4位にランクインをしました。
3位: タカラレーベン
- 東北圏では圧倒的な供給数を誇り、1位を独走し続けていますが、仙台圏としては3位となりました。
- 2位の住友不動産との差は、約100戸程度でした。
- 2024年に竣工が予定されている戸数は、468戸が見込まれており、力強さがあります。また、2020年を除いては、暦歴にてほぼ毎年物件の竣工を迎えており、安定性も十分と言えます。
2位: 住友不動産
- 4位の三井不動産に似た戦略です。すなわち、中規模+から大規模物件を2年に一度は少なくとも竣工させており、流石、大手の余裕を遺憾なく見せつけてくれています。
1位: 野村不動産
- ぶっちぎりです。
- 2位の住友不動産に約500戸以上の差をつけており、割合としては全体の2割を占めています。
- 竣工した住戸数のみならず、棟数の割合も同程度の水準にあり、また、全25事業主のなかで唯一、各年で竣工を迎えています。
- このことは、計画的かつ定常的な事業を展開していることを意味します。この背景には、小規模物件から大規模物件まで、低層から高層までにわたり、物件的特徴に大きな偏りがみられないことがあり、用地に応じた柔軟な取り組み姿勢があるものと思われます。
総括しますと、仙台圏に関しては、野村不動産やタカラレーベンが細かくコツコツと積み上げていくのを主としている一方で、三井不動産や住友不動産は不定期的に大きくドカンと重ねていく傾向にあると言えるでしょう。
4) 地理的分布 (立地)
4-1. 前提条件
- 東西南北、中心市街地、近郊、郊外の個人的定義は、仙台駅との物理的な距離、機能性 (鉄道や道路などの交通、用途地域、街並み (住宅、商業施設等の分布)) を考慮し、後記のとおりの設定をした。
中心市街地: 仙台駅西口からアーケード商店街周辺
近郊 (北): 北仙台駅まで
近郊 (東): 榴岡公園、仙台サンプラザまで
近郊 (南): 東北学院大学五橋キャンパスまで
近郊 (西): 西公園まで
郊外: 前記近郊よりも仙台駅から遠ざかる方向
- 泉中央およびあすと長町は、郊外型に分類をするが、郊外型市街地として別途、考慮した。
4-2. 結果
1) エリア別
4-2-1-1. 中心市街地
- 2017年から、3→0→0→0→2→0→2→3件と推移した。
- 今後においては、本エリアにおける建築物の建替え、デベロッパーならではの豊富な資金力を生かした再開発事業などによる新築分譲物件のさらなる供給に期待したい。
4-2-1-2. 中心市街地以外
- 近郊が約48%、郊外が約42%。
- 泉中央周辺は、3件の供給があったが、2017年、2020年、2023年に1件ずつであり、新築分譲マンションの希少性が改めて際立つ結果になりました。
- 対して、あすと長町は、7件の供給であった。2022年と2023年の竣工はなかったものの、ほぼ毎年定期的に竣工がある状況である。
2) 方角別
4-2-2-1. 北方面
- 約38%を占めており、分布としては、地盤が良く、かつ高台に位置する近郊エリアの住宅地が多かった。
- それらは、上杉、錦町、二日町、本町 (一部は中心市街地)、通町、堤通雨宮町などであり、広域に渡っている。
- 郊外においては、台原、将監、八乙女中央があった。
4-2-2-2. 東方面
- 約21%。
- 面積としては、北や南方面と同等に広さがあるが、分譲マンション用地としての供給は、北もしくは南方面と比して多くはない。
- 近郊エリアでは小田原、榴岡公園周辺、車町周辺に分布しており、郊外では卸町、六丁の目、荒井と地下鉄東西線の周辺が中心である。
- 近年では、小鶴新田に代表される久しぶりのエリアの開拓もあり、ポテンシャルが無いようで、実はあるのかもしれない。
4-2-2-3. 南方面
- 約24%。
- 近郊では五橋、一番町 (一部中心市街地) に竣工され、郊外ではあすと長町のほか、富沢、南仙台などがあった。
4-2-2-4. 西方面
- 約7%。
- そもそも近郊の限界点である西公園を抜ければ、宅地部分が他エリアに比して少ないため、割合として少ないのは、致し方ないところである。
- 一番町は、意外にも広さがあり、個人的な定義では、アドレスが一番町であっても西方面と分類した物件も存ずる。
おわりに
- 次稿では、販売価格や専有面積について、調べてみたいと思います。
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